平成12年、ってことは今から18年前か~。感慨深いな~。
え? 「何のことだ?」って?
それは、当社のロングセラーアイテムの一つ、エンジントルクダンパーの実用新案が認可された年です。
http://silkroad-jp.com/portfolio-2/reinforcement/rein_etd
社長室の奥にかざってあるのですが、用事で通りかかって、なつかしく開発当時のことを思い出しました。
今、40代ですが、当時、私は20代でした。今も続く土曜日の営業会議のことでした。
「FD3Sは構造上、シフトが入りにくくミスが起きやすいと、ショップ様から情報がありました。対策として、エンジン揺れを抑えれば良いということで、補強バーでエンジンとボディを繋いで対策しているそうです。当社でも同じものを作って販売してはどうでしょうか?」
という意見がありました。要するにエンジンの動きでミッションも動いてしまう。それがシフトミスを誘発しやすくなるので、ボディとエンジンをつっかえ棒で止めちゃえということでした。
もちろん、それを商品化すれば、エンジンの揺れの力が直接ボディに伝わり、あっと言う今にボディに大ダメージです。クレームの嵐になるという意見がでたのはもっとも。じゃあ、「つっかえ棒の一部をショックアブソーバーにしてはどうか」という意見がでました。ところが、さらに紛糾。
「そんな都合よいサイズのダンパーは無い。KYBにOEM依頼したらロット数は万単位になるぞ」
「市販のリアゲート用ダンパーでは減衰力が足り無い。どうするんだ」
「ダンパーはオイルが入っている。エンジン周辺は高熱になるからオイルがすぐへたってしまう」
などなど、新商品案というものは、提案した本人以外からは色んなネガティブな意見が飛び出すものです(笑)。そこで社長が一言。「いい案思いついたぞ! オイルの替わりにゴムでええやないか!!!」
一瞬、社員全員がぽか~ん、となったのを思い出します。突拍子も無い発想でしたから。まさにコロンブスの卵。いわれてみれば簡単、でも思いつかないものです。その構造は現在の商品の化粧箱の裏で説明されています。
こいつは現在のコイルスプリング内臓式ですが、基本は同じ。ストロークするロッドの中央に壁を作っておき、その両側にコイル、もしくはゴムを入れておくと、伸びても縮んでも減衰力が発生します。
それを当時、まだまだ若かりし頃の工場長が形にしたのがこのトルクダンパー。名品です。非常にコンパクトに作ることも容易です。おかげで幅広い車種ラインナップが出来ました。
当時のカタログにも説明が入っています。本当に効力が素晴らしい商品です。FD3Sには恐ろしく効く商品ですが、他の車種でもあきらかに変わります。最近のクルマは純正が良くできているとはいえ、やはりエンジンはある程度ゆれるものですから、スポーツカーやスポーツユースするヒトにはもう少しエンジンの揺れはおさえて、その力をトルクにしたり、シフトフィーリングを上げたいと思うのですが、強化エンジンマウントの装着は、手間とお金がかかります。
強化エンジンマウントに交換せずとも、素人でも簡単にボルトナットだけで装着でき、それに準じた効力が発揮できるのがこの商品の魅力。(車種によっては入力音などがふえます)
また、強化エンジンマウントは大半がエンジン下側での揺れを抑えるのに対して、トルクダンパーのほうはエンジン上部の揺れを押さえることが多いので、うまく使い分けすることも可能です。
もう、発売から18年か~。あっと言うまだった~。個人的にも色々あったな~。
一時期、大量に台湾を中心にコピー品がでましたが、「異音がする」「新車種が増えない」「ちゃんと装着できない」などで、最近ではもうほとんどみなくなりました。当社は変わらずずっと新車種にも対応させ、品質を向上させながら売り続けております。
「実用新案や特許、意匠登録などたくさん取得してるなら、そういうコピー商品を訴えたらいいじゃないか」
と思われるかもしれませんが、当社はそういうつもりでは取得しておりません。当社の古い人間ほどはっきりといいます。「クルマの部品なんて、みんな思いつくものは似たり寄ったりだし、作ったら似てしまうこともある。お互いさまだし、クルマ好き同士、喧嘩しなくてもいいやないか」
じゃあ、なぜ取得するのかというと、「オレの商品をコピーしただろ」という他社からの誤解をさけたり、逆に後からこういった書類を取得して、当社の製品の販売をとめてしまうような会社が現れたときの対策であり、防御手段です。実際、この業界では、先に作ったヒトの商品を、後出しで作ったうえに特許などを取得して、先に作った会社を訴えるような事例も少ないとはいえあるのです。
でも、こういう書類を取ること自体が我々社員にとっての勉強やスキルアップになることのほうが重要です。「より速く、より安全に」という当社のモットーにふさわしい商品を作るために、車検制度や構造変更、そしてこういった特許や実用新案の勉強を続けていきます。
はあ、もう50歳目前にしても「勉強」なんですね… 人生一生勉強かあ… そんなことを言っているワタシは… 勉強大キライ…